協会誌巻頭言
当協会について私の愛おしい小さな子供達
公益社団法人熊本県精神科協会 理事 森 健太
最近,私を非常に悩ませてる事がある。それは小さな2人の子供達だ。私は朝は7:30頃まで寝ていたい派なのだが,彼らは容赦なく,朝6時過ぎ ...早い時には5:30に私を起こしに来る。その起こし方も強力だ。私のほっぺや耳にキスをしたかと思えば,全体重を私のお腹に乗せてくる。
ひどい時は2人分だ。私がなかなか起きないと,彼らは不満そうな表情で私を睨んでくる。眠い目を擦りながら私が起きると,彼らは喜んで踊り出し,私を朝の散歩に誘う。
春の朝の散歩は爽快だ。木々の緑が鮮やかに美しく,吹いてくる風も心地よい。3月の終わりには桜吹雪の中を歩くのも幻想的だ。また秋の散歩も葉の色が変わる美しさを見る事が出来る。正直,自然の美しさをこの年で感じれる様になろうとは,10年前の私からすれば夢にも思わなかった。上の5歳の女の子はテケテケと歩いて行く。私はユルユルとそれに続いて歩いて行く。時々興味ある草花を覗き込んだりする。そうするうちに40分間の散歩は終わる。それが終わると,次は2歳を迎える男の子だ。彼は喜び勇んで,グングン進んでいく。時にはヒュウと駆けて行ってはグンと戻る。そんな彼を私は懸命に追いかける。おかげで88kgあった私の体重は現在 80kg。ベルトも2穴縮んだ。寝床で足が冷えた時には,しばしば疲れた脚が攣る。このまま持病の糖尿病まで治してほしいところだが,それは贅沢か?
ただ夏は地獄だ。朝7時には太陽が早々と登り,暑い陽射しを容赦なく浴びせくる。家に着いた時には全身汗でビショ濡れで,出勤までに2回の着替えとシャワーが必要だ。また冬は暗く寒くて,ダウンを着込んだ上でも外に出るのに一決心が必要になる。2020年の新型コロナ感染症が流行し始めた2月の街の散歩時の風景は,外に全く人が居らず,あたかもアポカリポスのゾンビ映画の様な風景だったのが今も記憶に残っている。
そしてお家に帰れば,朝ごはんの時間だ。以前は好き嫌いが目立っていた2人だが,最近では朝 ごはんを素直に食べるようになってきた。また上の子はおかわりまで要求してくる。ご飯をモリモリ食べてる時はお腹の調子も良いようだ。
それから私の出勤になるのだが,私を追って来る2人をサッと避け,私は毎日の仕事に行っている。休みの日には2人とスキンシップをとり,2人が満足したら私のお楽しみに移れる感じだ。また2人は毎日の仕事からの帰宅時には,踊って私をお迎えしたり,時には玄関で私を出迎えてくれる。鞄を置いてソファーに座ると,競って私の傍に来て,私のマッサージを受け続ける。寝る時にはいつも私の側に来て眠る。彼らと一緒に過ごす時は何とも言えぬ至福の時間であることは間違いない。
そんな私の愛おしい小さな2人の子供たち~キャバリアのシャロン(ブレンハイム)とエルメス(ルビー)~のお仕事は,患者さん達の心を癒して差し上げる事...になるはずだったのだが,タイミング悪く新型コロナウイルスの流行が度々起こり,彼らのお仕事はなかなか捗っていない。
しかし彼らのご先祖は遥か昔,その愛らしさでイギリスの王様を虜にし,仕事を放棄させてしまったという実力の持ち主なので,きっと会えた患者さん達の心を癒して差し上げる事は間違いないと私は信じて,日々の訓練を続けている。(私が甘いので,なかなかお座りから進まないという現実もあるが。)ライバルは亡きエリザベス女王様の愛犬コーギーだが,きっと2人は己の使命を果たしてくれる事と私は信じて今日も眠りにつくのだった。
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- 協会誌巻頭言「精神科医療と身体、連携について」(PDF)
- 協会誌巻頭言「電気代高騰と脱炭素」(PDF)
- 協会誌巻頭言「熊本地震8年を迎えて」(PDF)
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- 協会誌巻頭言「もうひとつのパンデミック」(PDF)
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- 協会誌巻頭言「人権制限の必要性と有害性」(PDF)
- 協会誌巻頭言「コロナ禍における覚悟」(PDF)
- 協会誌巻頭言「熊精協との30年」(PDF)
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